| 私は1996年4月〜1998年3月までの2年間、仕事のかたわら夜間(二部)の大学に通っていました。 東京の駒込にある「女子栄養大学」というところです。 一般の方にはあまりなじみのない大学かもしれませんが、みなさんが普段料理をするときに使っている「計量スプーン」や「計量カップ」を考案したのは、この大学の創立者でもある香川 綾さんです。 栄養学部を持つ単科大学で、他に大学院、短期大学、専門学校(香川栄養専門学校)を擁し、食と栄養について多くの研究成果もあげている大学です。もちろん昼間部(一部)の授業もあります。以前は短大にも二部がありましたが、現在この大学で二部を持っているのは学部(4年制大学)のみとなっています。 (女子栄養大学ホームページ:http://www.eiyo.ac.jp/) 仕事と学生の2足のわらじを履くことはとても忙しく大変な日々ではありましたが、はじめてみると大変さよりも楽しさ、面白さのほうがはるかにまさり、1日1日が大変中身の濃い、充実したものであると感じられるものでありました。 ここでは私が経験した2年間の「2足のわらじ」生活をふりかえるとともに、これから夜学に通おうかと思っている方々へのアドバイスになれば幸いに思います。 ○夜学(夜間大学)に通おうと思ったきっかけ 私は1991年4月に短期大学を卒業し、バブルの波にのって大手企業に就職をしましたが、OL生活というものがどうも肌に合わなかったようで、1993年に現在の仕事(学校栄養士)に転職。 2年後には受験資格のできる「管理栄養士」試験を受けようと思っていた私でしたが、学生時代からのブランクが長かったため試験に際しまったく受かる自信がありませんでした。 そこで転職後1年が経過し、やや仕事が落ち着きはじめた頃、夕方早く終わる仕事ということもあり、1994年4月、試験勉強のために「科目等履修生」として大学に通い始めました。 これが私と「夜間学生生活」の最初の出会いでした。 ここで私が、「女子栄養大学」という大学を選んだ理由としては、 1. 場所(文京区駒込)が通学可能な範囲であったこと 2. 当時、栄養学を夜間に学べる都内で唯一の大学であったこと 3. 働きながら教員免許もとれること(中学校・高校の家庭科1種) 4. 栄養学を真剣に学べそうな環境が(たぶん)整っていること …といったところでしょうか。 理由の3.にある通り、この頃から私の潜在意識の中には「いつかは正規学生として夜間部へ、そして教員免許もとれたら…。」という気持ちがありました。 試験勉強のための通学というのが前提にありつつも、正規入学を見越しての選択であったといえます。 ○科目等履修生ってどんなもの? 一般の大学でいう「聴講生」のようなもので、自分の好きな科目だけを選んで履修することができます。そして、その後大学に正規入学した際には、そこで履修した科目を取得単位として認定してもらうことができます。入学試験は書類選考のみ。 また、この制度の良い点は、すでに教員免許を取得している者が家庭科の教員免許を取得希望する場合に、この「科目等履修生」制度を利用すると、不足している科目を履修することで家庭科教員免許を取得することができるのです。 高等学校の家庭科が現在男女必修になり、家庭科教員が不足している学校では、既存の教員をここに通わせて教員免許を取らせるところもあったと聞いています。これはなかなかポイントの高いところだと思われます。なにしろ都内に数多くある大学の中で、夜間に開講ししかも家庭科の教員免許がとれるのは、唯一ここ女子栄養大学のみなのですから。現職教員が仕事を続けながら家庭科教員免許が取得できるのは、とてもありがたいことだと思います。 ○夜間学生の手始め こうして「科目等履修生」として大学の門をくぐった私は、管理栄養士試験の科目中比較的苦手であった科目を中心に履修していきました。 仕事との両立も考えて、まずは手始めに…ということで、前期は月曜日、火曜日の2限目のみ、後期はやや増やして水曜日の1、2限目と木曜日の2限目のみというようにしました。 短大卒業後3年ぶりに受ける「大学の授業」。机に座って講師の話を聞き、ノートに取り、レポートを書いたり…。しかしそれはどれもとても興味深く、面白いものでした。 自身の短大時代の頃と格段に進歩した現在の栄養学に触れることができ、新鮮な驚きや発見がありました。 また少人数でのアットホームなクラスの雰囲気は、仕事に疲れた心を和ませてすらくれました。 集まっている学生はみな意欲的で、私が短大時代に味わっていたような「前のほうの席ががらがら」という状況はめったになく、前向きに「学ぼう!」という姿勢が、教室全体からつたわってくるのです。 週に2回だけの昼と夜の二重生活。仕事の後のパートタイム学生となったおかげで、確かに忙しくはなりましたが、学校に行く日はとても気持ちが充実し、1日の密度が濃くなったというか、満ち足りているという実感をもつことができました。 ○ 管理栄養士試験を受験! さて、仕事のほうも実務経験2年を経過し、管理栄養士の受験資格を得た1995年4月。早速受験申し込みを済ませ、受験勉強に入りました。試験は5月下旬。このため、この年の前期(平成7年度)については大学に通わず、後期のみ受講することにしました。 6月の中旬、無事に試験に合格。晴れて「管理栄養士」となることができました。 さて、こうなると欲が出てくるもので、今度は来年度からぜひ大学に正規入学したい、できうることなら教員免許も取得して仕事に生かせたら…という思いが強くなってきました。 ○ 大学に行きたい ここで話がちょっと横道にそれますが、私が大学に行きたいと思ったのは資格取得もありますが、ほかにも理由があります。 私は教育熱心な両親の影響もあり、中高一貫教育の私立女子校(ホームページ:http://www.jissen.ac.jp/admissions/jhigh/)に通っていました。本当ならそのまま「エスカレーター式」に大学もしくは短大へ進学できたはずなのですが、高校時代の私は友人と遊ぶことの方に興味がいってしまい、また、苦手な科目はとことん嫌いになる傾向があったために勉強する意欲が失せてしまっていました。それほど頻繁にではなかったのですが、夜の街に出て遊び歩いたりということもやっていました。 数学と英語が特に苦手で、いわゆる「赤点」もとったことが何度かありました。 附属大学への推薦をもらうためには、英語の成績が一定以上(評定平均値3.0以上)必要だったのですが、決して厳しくはないこの基準に私は達することができず、大学推薦をもらうことができませんでした。 当時は一応、4年制の大学に入って管理栄養士の資格を得ることがひとつの目標ではあったのですが…。 やむをえず、進学先を求め他短大へ受験ということになりました。もともと栄養士の資格をとることを目標にしていた私は、短大受験にあたっても栄養士課程のあるところのみを選び、英語が苦手でも受験できる(=英語が受験科目にない!) 短大を受験しました。 当時の受験生にしてみれば、これは無謀とも言える選択だったかもしれません。現在は少子化の影響か、短大・4年制大学の受験科目もかなり減っているようですが、英語無しで受験できる短大などかなり限られていましたし、4年制大学の受験となるとほぼ皆無に等しい状況でした。 本当は4年制大学への進学を希望していたのですが、英語の成績がこれだけ悪いと受験できる大学はどこも見当たらなかったのです。 どうにか第3志望のT短大(ホームページ:http://toyoko.ac/)に合格、無事に短大生となることができたのですが、短大の2年間はただひたすら栄養士の資格を得るための忙しいカリキュラムに追われ、ひとつのことをじっくり学ぶということをする余裕はとてもありませんでした。 しかし短大での授業は、好きだった理科系それも化学や生物系の科目が多く、なかなか面白いものでした。実験やレポート書きに追われてはいましたが、もともとこの手のものが好きであった私としては、授業が楽しく思える日々でした。 成績もまずまずで、折からのバブル景気の影響もありましたが、就職先も大手企業に決まることができました。 ただ、自分の中ではずっと、このときの「自分が希望していた4年制大学へ行かれなかった」ということが、ずっと一種の「コンプレックス」として残っていました。 学歴社会が崩壊しつつある今にして思い起こせば、別にたいしたことはないのですが、当時の私の正直な気持ちとしては、たとえば仮に、別な就職先を見つけるにしても4年制大学を出ていないと門戸を開かないケースがあることに不安を抱いてすらいたのです。少し、悔しい…というような気持ちとでもいったものでしょうか。 高校時代にもっと謙虚に勉強していれば、こんなどんよりした気持ちにはならずにすんだかもしれない。時間をとりもどすことはできなくても、もし機会があれば、もう一度学びなおしたい、自分のやりたかったことを達成したい。それがちょっとの努力で達成できるのならば…。 大学に入りなおしたい。現在の学校栄養士という仕事に生かすために教員免許もとってみたい。好きな栄養学をもっとじっくり学んでみたい。OL生活に見切りをつけ、学校栄養士に転職してからはその思いがより強くなっていきました。 ○ 入学の決心 さて、前置きが長くなりましたが、科目等履修生として「パートタイム学生」をしながら私は、いよいよ大学に正規入学する決心をかためていきました。 (ここでいう『正規入学』とは、昼間部(一部)ではなく、夜間部(二部)への正規入学を指します。私の場合、現職にとりたてて大きな不満はなかったため、仕事を辞めずに学業を続けるという手段をとりました。) しかし正規入学となれば、試験があります。といっても小論文と面接のみで学科試験は課せられません。これは気楽に受験できる…と思ったものの、よく考えたら「小論文」なんてものをろくに書いたことはなかったのです。私。 短大受験のときにも受験科目にはなく、まったく勉強しなかった分野でした。 文章を書くにはそれなりの練習が必要であることは、中学校受験をしたときに作文をさんざんやらされたことでよく理解していました。文章能力は、いろんな本を読み、自分の言葉でなにかを書くという作業をしなければなかなか上達しません。 さてどうやって小論文のトレーニングを積もうか?と悩み始めてしまいました。 ○ 姉の手助け そんな私に救いの手を差し伸べてくれたのは、当時大学院に進学していて自宅とは離れて暮らしていた姉でした。 彼女はもとマスコミ志望で、大学卒業後は出版社に就職していました。 その後事情があって仕事を辞め、高校の臨時講師などをしていましたが、思うところあって大学院に進学しました。 もともと彼女の文章力はかなりなものでした。私は姉に頼み込んで、小論文の通信教育?を受けさせてもらうことにしました。 女子栄養大学から過去に出題された小論文の問題を入手し、それを解き、問題とともに姉に郵送し(返信用封筒同封)、姉からの添削を読む、また書く…といった練習を繰り返しました。 またZ会(あとで気づいたのですがここの問題集ってけっこうハイレベルだったのですね。国公立受験向けのものだったらしい)の小論文テキストや駿台予備校のテキストなどを購入し、それらを参考に「受験勉強」を続けました。このとき姉は、大学院の授業もなかなか忙しく、決して暇ではない中で添削を続けてくれました。 彼女には本当に感謝しています。 さて、私がこの小論文の練習で身につけたノウハウを以下に示します。私見にすぎませんが、これから小論文での受験を控えておられる方にはいくばくかの参考になるかと思います。 ・ いきなり頭から、がりがり書くよりもまずテスト用紙の裏でも使って全体の枠組みをフローチャート風に組みたてること。ここでは書きたいセクションごとに「文字数まで」しっかり予定を立てること。いわゆる「起承転結」が重要。そして最も大切なことは、「論旨は一貫していること!」 ・ 時間配分 …たとえば75分以内、800字以上1200字以内という問題だとしたら、 1.枠組みを考えるのに30〜35分 2.実際書くのに25〜30分(短いと思われるかもしれませんが、最初の枠組みがきちっと組まれてさえいれば、一気に書ききればこのくらいの時間で終わるはずです) 3.残りの時間は見直し、誤字脱字のチェックなど。 といった感じです。 ・ 参考図書 「理系小論文」増進会出版社 編(Z会)および 「小論文90日」駿台文庫 編 |
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